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雨漏りの考察

梅雨に入る前に、少し雨漏りについて触れておきたいと思います。雨漏りすると、憂鬱な気持ちになります。雨漏りが発生すると、たいていの場合 先ず瓦屋|屋根工事店が呼ばれます。ところが、屋根以外による雨漏りも多々あります。①特定の方向から強い風が吹く日に限って雨漏りする②複数年に一度程度の頻度でしか雨漏りしない、このような場合 屋根以外の可能性が高いように思います。

雨漏りの原因について

1)屋根に起因するもの

屋根材の劣化・ズレ・破損・不適切な施工・不適切な屋根の納まり(屋根を壁で受ける構造等)・イレギュラーな屋根補修(不適切な接着工事・ラバー工事/不適切な屋根シックイ工事)。天窓スカートの劣化(鉛板の穴開き)

2)屋根塗装に起因するもの

緩勾配屋根への屋根塗装。化粧スレート瓦の重なりの「縁切り」を省略した不適切な屋根塗装。雨漏りしている屋根への屋根塗装。

3)板金(水切)/雨といに起因するもの

銅製谷板及び、銅製屋根材の穴開き。水切継目コーキング不良(壁際水切/棟包み水切/谷板)、雨といの詰まり、水漏れによるもの。たてとい控金のバカ穴、控金を伝う雨漏り

4)壁に起因するもの

モルタル壁のクラック、割れ。サイディングの施工不良、コーキング切れ。真壁構造による柱とシックイ壁との隙間からの漏水。換気ガラリからの漏水

5)窓やサッシに起因するもの

窓及びサッシ・戸袋・換気口の新築時の施工法、納まりによるもの。施工不良

6)バルコニー関連に起因するもの

バルコニー防水の劣化、防水の立上寸法、笠木の納まり、笠木天端に打たれた緊結釘穴からの漏水、バルコニー柵・手すりからの漏水

雨漏りの対策・考え方について

以上 雨漏りには、様々な要因があります。雨漏りが発生した場合 先ず大切なのは、その原因を的確に把握することです。その次に対策ということになります。インターネット上で、「雨漏り必ず止めます」「雨漏り必ず解消します」と、うたっているホームページを目にすることがあります。ある意味、すごいなぁと感心します。雨漏りの要因は多岐にわたり、中には要因の特定すら難しいこともあります。原因の特定できないと、根本的に解消することはできないはずなのですが・・・

「雨漏り必ず止めます」「雨漏り必ず解消します」

「何度も雨漏りの修繕をしてもらったが、雨漏りが止まらない・・・」と、とてもお困りの方がいらっしゃいました。「雨漏りを必ず止めます」とホームページで掲載している瓦業者を頼り、「藁(わら)にもすがる思い」で、工事をご依頼されたそうです。でも、「複数回にわたって修繕してもらったが、雨漏りが止まらなかった。修繕する度に、工事範囲がどんどん広がり、とうとう葺替しないと直らないと言われて・・・・」「ばかにするのも、ほどほどにしろっ!」「雨漏りを必ず止めるなどと嘘を言うな!」と、怒り心頭でした。そのお宅は築年数も古く、瓦下の下葺材が施工されていない昔ながらの納まりの屋根でした。なので、部分修繕では完全な雨漏りの対策にはなり得ず、ルーフィングを一新する葺替工事が必要でした。ご縁があり、弊社で瓦の葺替工事をさせて頂きました。

「雨漏り解決」をうたい、全国フランチャイズのネットワークを展開している業者様がいます。以前 そのネットワークへの加盟打診を受けたことがありました。詳細のお話を伺いましたが、「雨漏り必ず止めます」を売りにしており、ホームページで訴求していくとのことでした。「必ず止めます」は、誤解を招く恐れがあるので、「その表現を変更できませんか?」と伺ってみました。「これは方針なので、変更できません・・・」ということでしたので、丁重にお断りさせて頂いたことがあります。

「雨漏り必ず止めます!」このフレーズ(キラーワード)は、雨漏りでお困りの方にとっては、とてもインパクトがあります。でも、もし雨漏りが止まらなかった時、どう弁解するのでしょうか・・・。やはり、誤解を招く恐れがある表現は、使わない方が「正直」だと思っています。雨漏りの中には、判りやすい(=対策しやすい)ものと、その要因解明並びに対策が非常に難しいものがあるのです。「過大表現」「美辞麗句」に飛びつかず、冷静・沈着にご判断頂けると幸いです。