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屋根材のズレ#4(棟部ノシ瓦・紐丸瓦のズレ)

昔の基準で施工されている和瓦屋根は、棟が土で積まれているケースが大半です。ちなみに、長期間の耐久性を求められる社寺仏閣では、棟はシックイ積みされることが多いです。土積みされた棟部のノシ瓦・紐丸瓦は、様々な原因でズレることがあります。

陸棟部ノシ瓦ズレ
棟部紐丸瓦ズレ
隅棟部ノシ瓦ズレ
隅棟部ノシ瓦ズレ
隅棟部ノシ瓦ズレ

棟部ノシ瓦・紐丸瓦のズレの原因について


棟部ノシ瓦・紐丸瓦のズレの原因としては、下記があります。

  • 経年劣化や、施工状況による棟土の劣化、砂状化
砂状化した棟土
  • 棟瓦(ノシ瓦、紐丸瓦、雁振瓦など)の緊結線の劣化、切れ

昔は、たいてい緊結線に銅線が使われていまいた。ところが、鉄線や鉄に銅メッキをした線(板金業者さんが軒といの緊結線として使う)を使用すると、経年劣化で必ず切れます。

また、細い銅線を使うと、ノシ瓦と接触する部分が経年で断線します。

緊結線切れ(鉄線が使われていました)
銅線が細く、経年で断線
  • 棟部ノシ瓦の積み方、緊結方法

棟瓦(ノシ瓦・フスマ瓦)の緊結方法には、複数の方法があります

大廻し緊結(断面図出典:甍技塾「瓦施工書」)

もっとも良く使われた施工法です。ノシ瓦2~3段と天端のフスマ瓦(紐丸瓦・雁振瓦など)とを緊結線で一緒にくくる方法。屋根下地とはつながっていない為 緊結線が切れたり、棟土の劣化に伴い棟自体の強度が下がります。

大廻し緊結
大廻し緊結

②その他緊結方法(いかり緊結・棟木緊結・ちどり緊結・野棟緊結)(断面図出典:甍技塾「瓦施工書」)

いかり(碇)緊結

いかり(碇)緊結

瓦の破片に銅線をくくり、それを棟土に埋めて緊結する方法。ノシ瓦同士をくくり合せしないと、ノシ瓦がずれる場合があす。

棟木緊結

棟木緊結

棟木から緊結線を出し、ノシ瓦及びフスマ瓦(紐丸瓦・雁振瓦など)を緊結する方法。

雨水が緊結線を伝って棟木迄 浸入すると、雨漏りつながる場合がある。フスマ瓦の緊結線穴はコーキング等で防水処理が必要。

野棟緊結

野棟緊結

棟の芯に板や金属の棟芯を設置し、そこから瓦を緊結する方法。社寺の棟には良く使われる耐久性の強度の高い方法

千鳥緊結

千鳥緊結

大廻し緊結と近く、1本の銅線をノシ瓦の上に千鳥にしき、その上のノシ瓦を積み完成後 しいておいた銅線を輪を縫うように緊結する方法。

地震、台風などの自然災害

台風・地震などの自然災害によって、棟部ノシ瓦・紐丸瓦にズレが生じることがあります。棟瓦が脱落・飛散・崩壊することも見掛けます。

隅棟崩壊(大阪北部地震)
陸棟崩壊(大阪北部地震)
棟瓦飛散(台風21号)