お知らせ
不適切な屋根シックイ工事#1(和型いぶし瓦・陶器瓦棟部)
瓦屋根の軽微なメンテナス方法として、「屋根しっくい」「漆喰」の塗り替え工事があります。これは、美観的な要素が強い方法で、棟の強度アップには寄与しません。訪問販売業者による屋根リフォーム時、 瓦をシリコン樹脂で接着する「ラバー工事」「接着工事」「瓦止め工事」とあわせて、しっくい工事を散見します。なかには専門の屋根工事店では絶対にしない、不適切な屋根シックイ工事(シックイ重ね塗り工事)も目にします。シックイ(漆喰/しっくい)は、たくさん塗れば良いというものではありません。たくさん塗り過ぎると、逆に副作用(=雨漏り)につながりますので、注意が必要です。
■ 陸棟部納まり/断面図について(出典:瓦施工書@甍技塾)

「棟土及び面戸シックイ」と、「ノシ瓦」とは適切なチリ(クリアランス)を確保する必要があります。既存シックイをはがさずに上塗りすると、このチリがなくなり最悪雨漏りにつながることもありますので、注意が必要です。
■ 不適切な屋根シックイ補修例#1(シックイ重ね塗り)
既存シックイをはがさずに、上塗りされた事例。ノシ瓦とシックイとのチリ(クリアランス)が保たれておらず、棟内部への雨水の浸入が促進され、短期間でシックイの変色・はがれ・流出につながります。



不適切な屋根シックイ補修例#2(シックイがノシ瓦からはみ出る納まり)
重ね塗りされたシックイが、ノシ瓦よりも出る納まりです。雨天時 常時棟土が濡れる為 隅棟際の桟瓦の凍害症状が促進されています。



■ 不適切な屋根シックイ補修による棟土の濡れ
既存シックイをはがさずに、屋根シックイが重ね塗りされたお宅です。ノシ瓦とシックイとのチリがなくなり、棟内部への雨水の浸入が促進された事例。棟を潰すと、棟土全体が濡れていました。

