お知らせ

屋根瓦の接着・ラバー・瓦止め工事 考察

瓦屋根の補修方法として、瓦同士をシリコン樹脂で接着する「接着工事」「ラバー工事」「瓦止め工事」という方法が存在します。関西地方では、阪神淡路大震災以降 訪問販売業者を中心に、普及した方法です。イレギュラーな補修方法につき、考察したいと思います。

■接着・ラバー・瓦止め工事のメリット

①瓦同士を接着することで、屋根面が一体化し、ある程度 地震や台風に効果がある

②施工に高度な技術を要さない為 誰でも簡単に施工ができる

良心的な業者(これが大前提)であれば、比較的安価で工事が可能 

接着・ラバー工事(桟山部のみ)
接着・ラバー工事(桟山+縦隙間)

■接着・ラバー・瓦止め工事のデメリット

①屋根表層の瓦が一体化されているだけなので、大きな地震・台風時 瓦がかたまりで落下・飛散することがある

②この補修工事が施されている屋根で雨漏りが発生した場合 部分修繕が困難となる

③屋根葺替工事の際 瓦撤去に手間がかかる為 コストアップにつながる。また、産廃処理場によっては受け入れ拒否されたり、処分費がアップする場合がある。

④悪質業者の場合 葺替工事と同等もしくは同等以上の高額な金額で成約を迫られることがある。

⑤瓦のズレを是正せず接着・ラバー・瓦止め工事をすると、雨漏りにつながる危険性が大きい。

⑥粗悪な工事の場合 雨水の排水機能が低下し、結果として雨漏りすることがある。

接着・ラバー工事(瓦の隙間全てに処置)
接着・ラバー工事(桟瓦下端全てに処置)
接着・ラバー工事(棟瓦全て)
接着・ラバー工事 地震による棟瓦全体のズレ

つまり、屋根瓦の「接着工事」「ラバー工事」「瓦止め工事」は、長短あわせ持つ屋根補修法です。そもそも瓦は、接着・ラバー工事がなされることを想定して製造・施工されていないので、長期的にどのような副作用(雨漏り・結露他)が発生するか、しっかり検証されていません。

もしこの工事の提案を受けたら、メリット・デメリット両方をよくご確認下さい。尚 瓦にズレが発生している場合は、ズレ補正が必須となります。ちなみに工事金額ですが、屋根の葺替や、きちっとした修繕工事ほどの金額にはなり得ない工事ですので、予備知識としてご認識下さい。